メダカの卵はほったらかしでも孵化しますが、孵化した瞬間に親メダカに食べられてしまいます。また、グッピーなどと違い隠れ場所を作ってあげても無駄なことが多いです。なぜなら生まれたてのメダカの針子は水に潜れないからです。針子はうまく隠れることができないためほぼ確実に親メダカに食べられてしまうため、エビやグッピーなどのように完全放置でメダカを飼育するのはできないと思います。
半分ほったらかしの飼育法「親抜き」
メダカの卵を完全ほったらかしは不可能ですが、半分メダカを放置する飼育法「親抜き」という方法があります。これは、メダカの親魚を普通に飼育容器で飼育して、卵が孵化する前に親だけ取り出すというものです。
あとは容器をほったらかしにしておけば、産み付けられた卵からメダカの針子が孵化してくるのでそのまま育てればOKです。
産卵床だけ取り出すこともできる
また、産卵床だけ取り出して別の容器に浮かべておくこともできます。卵をいちいち取り外さなくても孵化するのでとても楽ちんです。
ほったらかしだと孵化率は低下する
ただし、親抜きや産卵床だけ取り出す方法では孵化率は低下します。無精卵を取り除いたり、カビないようにメチレンブルーを入れたり、卵保管容器を水換えしたりするなど、適度な世話を行わないと産まれてくる稚魚が少なくなります。このため、私は卵を一つづつ取り出し、保管容器に入れて管理しています。
ただ、大手のメダカ屋さんではほとんど親抜きが用いられています。規模が大きくなってくると一つづつ管理するのは不可能になってくるので、ほったらかしている方がほとんどです。
親抜きでも屋外でやれば半分以上は孵化してくると思われるので、時間やスペースがない方は親抜きを試してみればいいと思います。
メダカの卵をほったらかしにするとどうなる?
メダカの飼育に慣れてくると、水草や産卵床にキラキラと光る卵を見つけることがあります。初めての産卵は嬉しいものですが、「毎日卵の世話をする時間がない」「自然な形で増えてほしいけど、どうしたらいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、メダカの卵は「ほったらかし」でもある程度は孵化し、育ちます。しかし、それにはいくつかの条件と、メリット・デメリットが存在します。この記事では、メダカの卵を放置した場合にどうなるのか、その理由と、ほったらかし飼育を成功させるためのコツを詳しく解説します。
メダカの卵を「ほったらかし」でも孵化させられる理由
そもそも、なぜメダカの卵は人間の手を借りなくても孵化できるのでしょうか。その理由はメダカ本来の生命力の強さにあります。
自然界では誰の世話も受けずに育つ
野生のメダカは、田ん補や小川の水草に卵を産み付けた後、親が卵の世話をすることはありません。卵は外敵から身を守りながら、太陽の光と水温の力だけで成長し、やがて自力で孵化します。つまり、メダカの卵はもともと「ほったらかし」で育つようにできており、人間の特別な管理がなくても、細胞分裂を繰り返して成長する能力を持っているのです。
孵化に必要な最低限の条件
メダカの卵が孵化するためには、いくつかの基本的な条件が必要です。最も重要なのは水温で、一般的に「積算水温250℃」に達すると孵化すると言われています。これは、平均水温25℃の環境であれば約10日間、平均水温20℃であれば約12日から13日間で孵化することを意味します。また、適度な光も成長に必要ですが、これは屋外の太陽光はもちろん、室内の照明の明かりでも十分に補うことができます。これらの条件が自然に満たされる環境であれば、卵は勝手に育っていくのです。
楽だけどリスクあり?「ほったらかし飼育」のメリットとデメリット
「ほったらかし」での飼育は非常に魅力的ですが、良いことばかりではありません。メリットとデメリットを正しく理解し、自分の飼育スタイルに合っているか判断することが大切です。
メリット:手間がかからず管理が非常に楽
ほったらかし飼育の最大のメリットは、何と言っても管理の手間がほとんどかからないことです。本来、孵化率を最大限に高めるためには、毎日卵を回収し、無精卵を取り除き、カビ防止のためにメチレンブルーで薬浴させ、定期的に水換えをするといった丁寧な管理が必要です。しかし、ほったらかし飼育ではこれらの作業を一切行わないため、忙しい方や、自然の成り行きに任せたいという方にとっては非常に楽な方法と言えます。
デメリット:孵化率と稚魚の生存率が著しく低下する
一方、最大のデメリットは孵化率と、孵化した後の稚魚の生存率が著しく低下することです。放置された卵は、まず親メダカや他の魚に食べられてしまうリスクに常に晒されます。また、卵塊の中に一つでもカビの生えた無精卵があると、そこからカビが健康な有精卵にも広がり、全滅してしまう危険性もあります。運良く孵化できたとしても、小さな稚魚は親メダカにとって格好の餌食となってしまい、そのほとんどが食べられてしまう運命にあります。
「ほったらかし」が成功しやすい環境と失敗する環境
「ほったらかし」飼育を実践する上で、その成否を大きく左右するのが飼育環境です。どのような環境が放置飼育に向いているのか、または向いていないのかを見ていきましょう。
成功しやすい環境:隠れ家の多いビオトープ
ほったらかし飼育が最も成功しやすいのは、自然環境を再現した屋外のビオトープです。特に、ホテイアオイやアナカリス、マツモなどの水草が豊富に茂っている環境が理想的です。これらの水草は、卵を産み付ける場所になるだけでなく、外敵から卵を守るシェルターの役割も果たします。さらに、孵化した稚魚にとっても絶好の隠れ家となり、親メダカから食べられるリスクを減らしてくれます。また、安定したビオトープには稚魚の餌となる微生物が自然発生しているため、餓死の心配も少なくなります。
失敗しやすい環境:ベアタンクや小さな飼育容器
逆に、ほったらかし飼育が最も失敗しやすいのは、底砂や水草などが一切ない「ベアタンク」と呼ばれるシンプルな水槽です。このような環境では、産み付けられた卵や孵化した稚魚が身を隠す場所が全くなく、親メダカに食べられてしまう確率は非常に高くなります。また、水量が少ない小さな飼育容器も、水質が悪化しやすく、卵にカビが生えたり、孵化してもすぐに死んでしまったりする原因となるため、放置飼育には向いていません。
手間と生存率のバランスを取る「半ほったらかし」という選択肢
「丁寧な管理は面倒だけど、稚魚の生存率はできるだけ上げたい」という方には、「半ほったらかし」という折衷案がおすすめです。
産卵床を別容器に移すだけの簡単管理法
これは、親メダカのいる水槽に入れた産卵床や水草に卵が産み付けられているのを確認したら、その産卵床ごと別の容器に移すという方法です。卵を一つ一つ採卵する手間はなく、ただ産卵床を移動させるだけなので非常に簡単です。この一手間を加えるだけで、親メダカによる卵や稚魚の捕食という最大のリスクを完全に回避することができます。移動先の容器でカビた卵を見つけたら取り除く程度の簡単な管理をしてあげるだけで、生存率は格段に向上します。
自分の飼育スタイルに合わせて方法を選ぼう
メダカの増やし方に絶対的な正解はありません。一匹でも多くの稚魚を育てたい、品種改良に挑戦したいという方は、手間をかけて丁寧に管理する方法が向いています。一方で、自然のサイクルを観察したい、あまり数を増やしたくないという方は、ビオトープでの「ほったらかし飼育」が楽しめるでしょう。その中間として「半ほったらかし」という選択肢もあります。ご自身の時間や労力、そしてメダカ飼育に何を求めるかに合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
まとめ
メダカの卵は、もともと生命力が強く、特別な世話をしなくても孵化する能力を持っています。しかし、飼育環境下で「ほったらかし」にする場合は、親に食べられたり、カビが生えたりして、その多くが孵化に至らないというリスクが伴います。もし、ほったらかしでメダカを増やしたいのであれば、水草が豊富に茂ったビオトープのような、自然に近い環境を用意してあげることが成功の鍵となります。手間をかけずに生存率を上げたい場合は、産卵床を別容器に移す「半ほったらかし」も有効な手段です。ぜひ、ご自身のスタイルに合った方法で、メダカの繁殖を楽しんでみてください。
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